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インド・ネパール旅行記-2007-

The God is God

タージ・マハルは実にインドらしからぬ建造物でした。美しすぎるのです。白亜のドーム、シンメトリーの柱、道には牛フンもゴミもなく、すっきり晴れ渡った空に凛とそびえる世界一美しいお墓。ここは私が今まで見てきたインドを頭っから否定するような場所でした。

  

その美しさに魅せられて入り口で何枚も写真を撮っていると声をかけられました。ありがちなぼったくりガイドなら断ろうと思ったのですが、結構面白いおじさんなのでお金をくれと言ってくるまでは相手になってもらおうと決めました。しかし特にお金を請求してくる風もなく、単なる暇なおっさんだったもよう。セクハラするでもなく、ただまったりとタージ・マハルをガイドしてくれた親切な方です。カシーフさん、良い方に出会いました。

生粋のヒンズー教徒だというので「ヒンズー教の神様、いっぱいいるけど誰が好き?」と信仰の対象を聞いてみたところ、「The God is God」という深いお言葉が返ってきました。神はひとつだけだと、カシーフ曰く、これが真のヒンズー教の教えらしいです。知らなかったのですが、ヒンズーは一神教的な考え方もあるのですね。一つの神のあらゆる面がみえるから、多神教のように扱われているだけなんだと教えられました。

全てのものにはたったひとつの真理があり、今見えている多面的な現実はそのたったひとつの真理をあらゆる角度から見ているにすぎない。これがインド哲学の信じるところです。本物のように見えるあれもこれも、単に鏡に映る幻でしかなく、これはマヤと呼ばれています。そうすると、今目の前にあるこの美しいタージ・マハルもひとつのマヤなんでしょうか。私はこれからこのインドでどんなマヤに出会うのでしょうか。

カシーフと出会ってインドを少し深く学んだ後、タージ・マハルを後にしました。駅で寝台の席を確認して、屋台でご飯を食べようとしたら、駅にたむろしていたリクシャーマンに止められました。日本人が食べると腹を壊すと。だから、15Rsでうまいレストランに連れていくと。そのかわり、顔なじみの土産物屋に立ち寄らせてくれと。うまくやられたなあという感じが否めませんが、夜は寝台で移動のため、ここで腹をこわす事態は避けたかったのです。

ありがたいことに、連れていってもらったレストランのターリーが格安で、しかも美味。初めてベジタリアン食を食べましたが、こんなに美味しいとは。時には他人に流されるのも悪くないものです。立ち寄ったお土産屋さんは、デリーのメインバザールとは比べ物にならないような値札が並んでいました。メインバザールで50Rsだったサリーはここで450Rsから、下手をすると700Rs。ショールが250Rs。どこかに一泊できそうな価格です。貧乏でよかったです。悩む必要がないので。

リクシャーマンにアーグラー城前で降ろしてもらい、そこからもう一度タージ・マハルを眺めて過ごしました。ガイドブックによると、タージ・マハルを建てた王さまは、後に息子によってこの城に幽閉されたそうです。なんてこと。どんな思いでここからあの美しいタージ・マハルを眺めたのでしょう。あの美しさの背景にある悲しいマヤに、少しだけノスタルジックな気分を味わいました。

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