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インド・ネパール旅行記-2007-

For good カルマ

ガンガーに出てガート沿いをぶらぶら歩いていくといろんな奴らに声を掛けられます。ぼったくりガイドみたいなのもいれば、「オ金イラナーイ」とか言ってる奴もいて面白いです。基本的に騙されること前提で話を聞いていると、たまに本当にどうしようもないくらい良い奴にめぐり合うこともあって、そのギャップにびっくりします。

どうして何の見返りもないのにそんな親切ができるのか訳がわからず聞いてみると、「for good カルマ」ですって。カースト制は政治の上ではとっくに撤廃されていますが、実際にはそう簡単でもなくて、良いカルマを積んで次の人生で良い生活を、と望む人がいまだにたくさんいるのが事実です。

とあるホスピスへの道案内を買ってでてくれたある青年に、「実際カースト制度に縛られるのは嫌なんじゃないの?」と尋ねてみました。そうしたら平然と「No!」なんて言うのです。「カーストは神が自分に与えてくれたものだから」と。なるほど、こんなに生活に息づいているカーストという制度が、無くなることなんて絶対にないのかも知れません。

その青年について行って、ホスピスの屋上からマ二カル二カのガートを見学しました。そこはバナーラスの火葬場でした。死体が焼かれている最中にも、次から次へと新しい死体が運ばれてくるのを見ました。ガンガーでの最後の沐浴を済ませた後、燃やされていく人たちをずっと見ていました。約3時間で、積み上げられた薪の山は灰へと変わります。すると、家族が壺に入ったガンガーの水を壺ごと灰に投げ入れて、火葬は終了となるのでした。このガートでは誰も涙は流しません。泣くと魂はこの世界につかまって、ニルヴァーナには行けなくなってしまうんだ、と青年が教えてくれました。したがって、本来ここは女人禁制の場所なんだそうです。

このホスピスでボランティアをして、次の世では良いカルマを得るのだと、彼は信じていました。信じる力ってものは、人の眼に強い力を宿らせるものだということを学びました。金銭的な意味ではなく、心の平安という意味で、その青年は私よりもずっと満ちた生活を送っているような気がしました。次の人生は関係なく、今生で。

マニカルニカ・ガートを後にしようと立ち上がって、もう一度ガンガーを眺めたら、河の中央に浮かぶサドゥ(苦行者)の死体を見つけました。青年に「The body」と言われるまで死体と気付かなかったくらい、自然にそこに流れていました。そのリアルさを自然に受け入れることは難しいことではなく、むしろその先にあるサドゥのカルマを想って私は帰路につきました。

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