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中欧・東欧旅行記-2006-

オンチェシュティ的日々 〜ルーマニア風バーベキュー〜

「バーベキューするわよーーー!!」
ペンションのママの一声で飛び起きる。そういえば、カメラ事件に疲れ果て、ご飯を食べるのを忘れていたらしい。庭でのバーベキューなんて楽しそうじゃないか、と勇んで参加に名乗りをあげる。

と、ババが大きな鉄なべに油をどくどく注いでいる。次いでママがその鉄鍋で鶏やらジャガイモやらを揚げはじめたではないか。
「えぇぇぇ!バーベキューって焼くんじゃないの?!揚げるの??」

「これが一般的なルーマニアのバーベキューだよ」
私たち以外の宿泊客の一人、アディが教えてくれた。彼はルーマニア在住で、奥さんと奥さんのの姉夫婦を連れてこのペンションに来ている。奥さんがマリア。お姉さんがイカ、その旦那さんがジョージという名だ。イカは数学の先生で、若いのに糖尿病を患っているらしい。ジョージは無口でお酒を良く飲むが、いたって紳士的。マリアはイカと姉妹だけあって、とてもよく似ているが、こげ茶の髪を後ろで束ねたとってもチャーミングな女性だ。パソコンに詳しいらしい。

そういえば、マリアという名前をこの村に来てから何回聞いただろう。通訳してくれるマティの姪もマリアだし、ママの名前もマリア。この民宿の生意気盛りの一人娘はアナマリア。これだけ続くならお婆ちゃんもお隣さんも村人みんなマリアに違いない。どうやら洗礼名として「マリア」が好まれるようだ。まだ洗礼を受けていないような小さな子供には、アニッツァだとかアディーナだとか、ルーマニアっぽい名前が付いていた。

ルーマニアンバーベキューは素朴だが、その味はピカイチ。揚げたての玉ネギがこんなに甘いなんて知らなかった。すりおろしたガーリックをたっぷり乗っけてチキンをいただく。シンプルなものが一番うまい。アディの教え従って、ワインはコンガスのミネラルウォーターで水割りにして呑む。胃に優しいらしい。みんなを観察していたら、2杯目以降は水対ワインが1:9だった。意味ないじゃないか!

もう一点、気付いたのはお手製のチーズの食べ方。味ありチーズは良いとして、味無しチーズを如何にして食べるか、その答えを得た。味の微妙な白い塊に自家製イチゴジャムをたっぷり飾れば・・・はい!チーズケーキのできあがりー!!!これはちょっとリッチなドルチェだ。そしてまた食べ過ぎる。呑みすぎる。

食べるだけ食べて、ハイご馳走様、と部屋に返してもらえないのがルーマニア。食事の後にはもちろんダンスが待っている。疲れたとかお腹一杯で動けないとか、どんな御託を並べても逃げられない問答無用のダンスタイム。手を繋いで踊っているうちは可愛いものなのだが、挙句の果てに酒瓶抱えて踊りだす。何処の酔っ払いの集まりか!とツッコミつつ、私もいい感じにワインがまわってきて、結局一緒に踊り狂う。

私たちの踊りっぷりにマママリアが大喜びしてしまったらしい。
「サプライズプレゼントよ!」
と出てきたものは・・・焼きたてのパウンドケーキ!!何がサプライズって、これだけ食べた後に、まだ食えって言っているところが一番のサプライズだ・・・。でも、やっぱりこれもペロッとお腹に入ってしまうのがマラムレシュマジック。

一食を食べ終える度に、どうしてこんなに疲れ果てるのだろう。これがオンチェシュティ的な過ごし方なのかも知れないなと気付いて苦笑する。悪くない。バーベキューがやっとでお開きになった後、2階のテラスにあがって食と踊りの疲れを癒しながら、ただボーっと景色を眺めていた。日が傾くごとに変わりゆく森の緑に目を凝らす。なんて贅沢な時間の過ごし方だろう。村の教会の鐘が響いてくる。ああ明日は日曜日だ。トウモロコシ畑に日が暮れる。

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