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中欧・東欧旅行記-2006-

報われない愛情

せっかく観光地ウィーンに来たのだから観光にも行こうと思いたった。一番の見所はどこかと聞いたら、安宿の主人が壁に張ってあるシェーンブルン宮殿への地図を指差した。

ガイドブックの売り文句曰く、ここはベルサイユに次ぐ宮殿らしい。期待大で10.20ユーロの馬鹿高いチケットを買って、まずは庭園を散策。敷地広すぎ。自分ちに動物園まで作っちゃうって、いったいどうゆう感覚なんだろうか。中央に真っ直ぐ伸びた道の先にはポセイドンの石像でかざられた大きな噴水。なんと豪華な。両側の花壇も手入れが行き届いている。振り返って宮殿を眺めてみれば、それはもうリッチなお姫様気分、に浸れるか否かは個人差で、私は雇われ庭師の自分を思わず想像してしまった。

ここはハプスブルグ家の夏の避暑地だったらしい。ロココ調の宮殿内に足を踏み入れれば、大広間の天上を飾る巨大フレスコ画。当時の時代背景について全く勉強してはいかなかったけれど、マリア・テレジアとエリザベート王妃の物語をオーディオガイドがひとしきり語ってくれるのでノープロブレムだった。

女帝マリア・テレジアは自然科学に興じる夫を尻目にひたすら公務をこなし、シシィことエリザベート王妃は姑ゾフィとのいざこざを避けるように国外周遊。シシィの夫はドがつくほどに真面目な皇帝で、朝の5時から起きて執務に励んだらしい。彼のシシィへの愛は全くもって報われず、はっきり言って淋しい旦那だったようだ。なのに、シシィがイタリア人無政府主義者暗殺された際の悲しみ様は凄まじかったようで、「私がどれほど彼女を愛していたか、そなたには分かるまい・・・」というオーディオガイドの一言にこっちまで胸がぎゅっとなった。深い愛ってやつはたいてい報われないものなんだなと悟る。しかし、オーストリアまで来て何をセンチメンタルになっているのだろうか。

むしろ、報われることを期待するのがそもそもの間違いなのだろうという結論に達したのは、帰り道のトラムの中だった。でもやっぱりみんな報われたいと期待しちゃうから、恋愛感情に振り回されて一喜一憂するんだきっと。愛情は惜しみなく注ぐだけのものと割り切らないといけない。それはきっと自己満足の最終形態だ。今日の入館料10.20ユーロはその授業料ということで納得しようと思う。愛を学ぶには比較的安い授業料だった。

さて、本日が今回のヨーロッパ旅行の最終現地滞在日。明日は朝から空港へ向かわなければならない。ここまで一緒に旅してきた旅仲間がドイツに向かうのを指をくわえながら見送って、私は荷物のパッキング。かなり濃い旅だったと思う。長年の夢も叶った。この先、どれだけ旅を続けられるか分からないが、今回の旅が一つの節目だ。次の旅は全然違った方向性を持つものにしたい。どういう方向に行きつくのかは、乞うご期待ということで。

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