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中欧・東欧旅行記-2006-

魔女を探してオンチェシュティ・その1

昔々、一冊の本があった。題名は「魔女に会った」。ヨーロッパを旅して魔女の伝説を探るなんだかへんてこな本だったのだが、私はなぜかこの一冊に惹かれてしまった。物心着くかつかないかの私の最初の夢が「魔女になること」だったせいもあるのかもしれない。魔女になりたい。いつか魔女になるんだ。そう思って生きていた時代があったのはたしかだし、そういう年頃は誰にでもあると思う。そんな当時からこの本は大切な宝物だった。

私が一番大好きだったのはこの本の最後のシーン。著者は旅の最後に、本物の魔女に出会うのだ。ルーマニアのマラムレシュ地方、トランシルバニアよりずっと山奥の小さな村、オンチェシュティという地で。いつか私も魔女に会いたい。会って魔女って何なのか知りたい。そんな幼い頃からずっとずっと思い続けてきたバカみたいな、でも否定できない想いがあって、そのことを論文にしたら大学に入学できてしまったくらいだった。

そして思いは途切れないまま、でも詳しい情報なんてまったくないまま、私は大人になってしまって、実は少し焦っていた。幼い頃の夢なんて、叶わないまま消えていってしまうものなのかもなんて考えたりもした。でもそうじゃないってことに気付いたのは最近の事。分かったのは、「夢は叶う」、そう信じて叶えようと四苦八苦するのが私らしい生き方だってこと。ガンになって、それを乗り越えて、サバンナやマチュピチュを旅する中で掴んできた自分らしく生きるコツだ。もう諦めない、諦めたくない、そう思って生きていると不思議と前に進めるもので、つい最近、この春だったか、ルーマニアの地図に著者が旅したマラムレシュ地方のオンチェシュティという村の名前を発見した。とても小さな村らしく、政府観光局の情報にも引っかからなかったのに、本当にふとした瞬間に出会ったのだ。それが決定打、もう決まりだった。

この本の出会いからもう13年も経っている。もう残された時間はないと思う。行かなきゃルーマニア!何かに突き動かされるように、飛行機のチケットを取った。3週間の夏休みも、なかば強引に奪い取った。

以上が今回の旅の本当のプロローグ。要するに、幼い頃の自分に突き動かされて、ルーマニアまで来ちゃったわけだ。正直に言って、13年捜し求めた探し人が見つかる可能性は低いと思っている。でも地図にOncestiの文字を発見してしまったんだから、旅に出ないわけにはいかないじゃないか。これが私が私に恥じない唯一の生き方だ。そして探すからには本気でいくつもりである。小さな村で人っ子一人探せないようじゃ、自分の生きる道なんて見つけられるわけがないのだから!

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