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ペルー旅行記-2005-

落書きもここまでやれば世界遺産

パッチリ目が覚める。昨日の絶不調はどこへやら。逆高山病は一日で完全回復だった。やはりただの疲れだったのかもしれない。天気もばっちりで今日の地上絵フライトは問題なさそうだ。さて、噂ではよく聞く恐怖の地上絵のセスナ観光。取りあえず吐く、みんなで吐く、乗り物酔いの最高峰を体感できる、といったキャッチフレーズの真意はいかに。怖いので朝食は軽めに摂った。何も食べないのもよくなかろうってことで、フルーツとお茶程度。

ホテルに程近い飛行場に移動すると小型のセスナが何機も止まっており、早朝なのに旅人が何人も集まっていた。どうやらこのフライト、天気との関係で朝早いのが一番よく見れるらしい。

待つこと30分、ついにセスナに乗りこめとの指示がでる。小心者の旅人は心臓がばくばくだ。緊張で手に汗をかきだす。乗り込んでみるとこのセスナ、思っていたよりも小さくて5、6人しか座れない。余計に怖くなってきた。もうこれで人生何もかもお終いかもしれないって気さえしてくる。せっかくジャングルで拾った命なのに。この旅は何でこうもピンチの連続なのか。

が、セスナが走り始めた途端に何かが変わった。急にこみ上げてくる笑いがどうにも止まらない。どうやら緊張しすぎて、気持ちが180度回転しちゃったようだ。完全にナチュラルハイ状態。もうなんとでもなれーハハハハーと笑い続ける。人間て怖い。長い直線を突っ切ったあと、急に機体がバランスを変えた。飛び立った!!笑いが止まらない。なぜかセスナに乗ってるみんなで大爆笑。怖い!怖い!面白ーい!!ん?この感覚、ジェットコースターと一緒じゃん。

そう思ったら急に落ち着いた。パイロットのお兄さんがすっごく格好いいことにも気付いた。降りたら一緒に記念撮影してもらえるだろうかなんて打算的になっちゃうくらい冷静さを取り戻した頃、見えた!地上絵!!大地を翔けるコンドル、ハチドリ、サルにクモに宇宙人。風化してると聞いてたがはっきり確認できる。なんてでっかい落書きなんだ!

これは確かにスケールがでかい。何を思って描いたとか、どんな意味合いが見てとれるとか、そんな空想的学術思考はとっぱらって、これ描いた奴、単純にクレイジーだ。そうか、何事もBIGでなくちゃだめなんだ。線路沿いやら近所の壁やらにちまちま描かれる落書きは悪者扱いでも、砂漠のど真ん中にバカみたいにでっかく描かれちゃったら誰も否定できなくなるんだ。かっこいいじゃないか。世界の役には全く立たないけどかっこいい。なんか、無性に感動してしまった。誰だ、旅行記に「がっかり遺産」だなんて書いてた奴。芸術は爆発なんだよ!!

しかしこのフライト、確かに甘くはない。イケメンパイロットは、客のみんなにベストショットを見せようと右に左に急旋回。まるで飛行技術を競うかのようなアクロバットを繰り返す。結果、頭がシャッフルされて気持ち悪くなる。が、その度にイケメンパイロットが振り返って、さわやかに白い歯を輝かせながら「見えたか?」と聞いてくるもんだから、おちおち酔ってもいられない。「う〜!見えた。見えたから真っ直ぐ飛んで!!」そんなこんなで30分ほどのフライトタイム終了。軽く揺れながら、地上に降り立つ。生きてた。ちゃっかりイケメンパイロットと記念撮影したあと、ホテルに戻り荷物をピックアップ。

リマまでの帰り道、いくつか行ってみたい所があったのでドライバーに頼んで連れていってもらった。まずは、水路へ。砂漠の真ん中のナスカに大昔からある、大切な水源だった場所。山から水を引いているらしいのだが、普通の井戸じゃすぐに干上がっちゃうということで、ぐるぐると地下まで渦巻き道がのびている。不思議な形だが、おかげで今でもこの井戸には水が流れていた。近くで農作業しているおじさん曰く、ここには魚もいるらしい。

次に来たのは、ナスカ時代の土器のレプリカを再現するトビさんの工房。これがびっくりなくらい本物そっくりらしく、彼の作品を買って国外に持ち出そうとすると、空港でひっかかることもあるとか。今ではちゃんと裏にサインをつけて工芸品として売っていた。土器を作る様子を見学させてもらった。最後の最後に帰り際、砂漠の真ん中のミラドールに再度立ち寄ってもらった。今日も風は強いが、天気はいい。これで旅もお終いか。後はリマに帰って飛行機に乗っちゃえば、一気に地球の反対側だ。旅の最終日特有の憂鬱感を抱えて、蜃気楼を追いかけながらパンアメリカンハイウェイをひた走った。

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