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ペルー旅行記-2005-

prologue

日付変更線は太平洋の真ん中にある。別に実際に線が引っ張ってあるわけではない。でもやっぱり心躍ってしまうのは、自分がアジアの隅っこの田舎者だからか。飛行機に揺られる(揺さぶられる?)こと数時間、待ちに待った瞬間がやってきた。アメリカンエアラインAAのエコノミーシートに備え付けられた目の前の小型TVの上、私たちを乗せた飛行機がカクカク曲がった日付変更線の上に飛び乗った。思わず、カメラを構える。お隣にいた米国人の青年は「???」という顔をしているが、知ったこっちゃない。
日付変更線のジャンプはIt's My First Timeなのよー!!
と話したら彼に大笑いされてしまった。記念すべきフライト。記念すべき昨日へのジャンプ。気分はタイムトラベラー。普段は飛行機嫌いな自分だが、今回の空旅は悪くない。

南米は遠い、とみんなは言うが、いざ飛行機に飛び乗ってしまえば何のことはない。あっという間だ。アメリカのダラス・フォートワース空港でトランジットし、もうひと眠りすれば飛行機の窓の下は南アメリカの大地。地球ってやつは私が思っていたほどおっきい星でもなさそうだ。

今回の旅のメインテーマはマチュピチュに立つこと。これは長年抱き続けてきた夢のひとつでもある。小学生時代にTVの特番か何かでこの空中都市遺跡に出会った時、呼ばれた、と思った。人里離れた山奥に謎を秘めひっそりとたたずむその姿、それはまるで夢とロマンの冒険アドヴェンチャー、天空の城ラピュタの実在の姿のようで、はたまたインディージョーンズに出てくる魔法のかかった宮殿のようで、冒険心の強い小学生を一目惚れさせるには十分だったらしい。南米がどこにあるのかよく分かっていなかった当時から、自分はいつか絶対あの場所に行く、と決めていた。

大学生になって、南米がけっこう遠いとこにあるらしいということが何となく感覚でわかるようになってきた昨年、友人に話を持ちかけられて、ペルーの旅計画を練った。じゃあせっかくだし夏休みにでも旅立っちゃおうか、と勢い付いていたのだが・・・。2004年の夏は私にとって大冒険以上の試練が待っていたのだった。

さくっと検査して退院するはずの骨腫瘍闘病が長引き長引き、結局7か月も病院暮らし。手術を2回後、終わりの見えないリハビリ生活に突入し、何度も心が折れかけた。「死の床についた人間はいったい何を悔やむのか」、何回も何回もシミュレーションしては時間が過ぎるのを待っていた。ただ私にはある種の心の支えがあった。「マチュピチュ行かずして死ねるかコノヤロー」という半ばヤケクソな強い想いが私にはあった。

そして一年が経ち、また夏休み。リハビリの成果が功を奏し、ある程度自由に歩ける体を取り戻した。行くなら今だ、と思った。むしろ今しかないかもしれない。でも「無限に続くような気がして何となく生きている今」を手放して、「自由に動ける唯一の時間かもしれない今」を持ってる今の自分はたぶん昔よりは強い。そう思う。

ということで今回の旅は地球の反対、南米の地で大冒険。ジャングルあり、アンデスあり、インカの遺跡にナスカの大平原あり・・・という盛沢山な旅プラン。大手術からの生還1年目を記念して、思いっきり無茶なことしてみよう大作戦だ。まだ手術の後遺症を引きずっているような状態でアンデスはワイナピチュの登山にもチャレンジする。さてさて、ほんとに生きて帰れるのか自分。正直言って自信ない。でもまあ、生きてる間はやりたいことやらないと。ということで、ケニアに次ぐ4度目の海外旅行、ペルー大冒険が幕開けとなった。

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