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ケニア旅行記-2005-

prologue

ガンになった。骨のガンなので、正確には肉腫というらしい。死ぬのかなと思ったが、そんなに単純でもないらしい。ただ、どうやら私はもう一生自分の足で歩くことはできないらしい。

・・・・と、そう思っていたのは周りだけで、こっちは到底納得できない。歩けなきゃ旅ができない!旅ができない自分は死んでるのと一緒!こうなりゃ自力で歩けるようになってやるわい!!!負けず嫌いの性格も便乗して、「旅」という『目的』に人生をかけていた時期だったような気がする。よくよく考えてみれば、「旅」は目的ではなくひとつの『手段』にすぎないのだが、若者というのは概して自分を見失うのが得意なものだ。

そんなこんなで7ヶ月、なかばヤケになってリハビリに励み、そしてついに自分の力で足を動かせるようになった時は・・・・正直自分が一番驚いた。ヤケをおこした子供の心境で日々リハビリに狂っていただけで、まさか本当に動くとは思っていなかったのかも知れない。でも足は動いた。自分の足で歩ける日が再びやって来た。

支えなく自分の足で一歩を刻んだあの瞬間が今でも忘れららない。「私、歩けるじゃん!」というあの驚きと感動。それは単なるリハビリの成果とか、進歩なんてもんじゃなくて、ひとつの『進化』を体感した瞬間だった。密林からサバンナに出てきたサルが初めて二足歩行をした瞬間、彼は何を思っただろう。その瞬間はどんな感動があったんだろうか。手をたたいたかもしれない。叫んだだろうか。それとも立ち上がったことが信じられずに、恐怖すら抱いたかもしれない。そんなわけのわからないことを一晩中真剣に考えたりした。

で、ひらめいたこと。次の旅はアフリカに行こう。ご先祖様がはじめて歩いた大地溝帯のサバンナに里帰りして、その大地をこの足で踏みしめてやろう。私も再び歩けるようになったのだから、アフリカのサバンナから人生もう一度、再出発だ!

これが無謀なる単身アフリカ初上陸計画のスタートだった。

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