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ドイツ旅行記-2003-

prologue

ギリシャへの初海外旅行から半年を経て、ついに国外逃亡第二弾がスタート。今回は『ドイツ・ロマンチック街道城巡りの旅』と題して、旅仲間を募るべく、バイト仲間に声をかけてみた。うちのバイト先は千葉にある某テーマパーク。そこで毎週「シン○レラ城」を見上げながら働いているわけなんだが、「このお城のモデルになった本物のドイツのお城、一緒に見に行かない?」と口説いて、あっという間に旅仲間3人決定。

個人的にはお城もさることながら、ヨーロッパの田舎の風景をのんびり見てみたいという願望に端を発した旅プランだった。でもせっかくロマンチスト揃いのディ○ニーキャストが4人も集まって旅するプランだし、南ドイツ・ロマンチック街道の趣あるお城巡りをメインに持ってくるのがぴったりだ。ということで、バイエルン地方の大きな街『ミュンヘン』を中心都市にして、ローテンブルクやフッセンなどを鉄道で回るプランを練った。移動の手段を鉄道にすれば、車窓からロマンチック街道沿いの田舎町の風景を心置きなく堪能できそうだ、という思惑もあった。そしてみんなの希望をぎゅっと詰め込んだ、贅沢な旅行プランがついに完成。

みんなの休みをうまく合わせるのがまた一苦労だったが、まあなんとか9日間の日程を確保。飛行機も前回の反省をいかしてアジアまわりは買わず(シンガポールのトランジットでかなり体力を消耗した!)、ブリティッシュエアウェイズ(BA)を確保。「よーしやるぞ!」と気合い十分で出発を待っているさなか、思わぬハプニングがやってきた。

突然襲った太ももの激痛。最初は筋肉痛かとも思ったのだがどうも様子がおかしい。痛みで寝れないほどの筋肉痛って今まであったっけ??まさかと思い大病院で検査を受けた結果、「骨腫瘍の疑い」。うっそー?!

下手をすると命にかかわる病気なのかもしれなかった。自分が死ぬなんて想像もつかなかったが、検査が進むにつれて一歩一歩自分の置かれた状態が大事っぽくなっていくのは分かった。これはギャグじゃなくマジでやばいのかも…。もちろん周りから旅行をキャンセルするように諭された。それが当然の選択であって、この状況で旅行なんて、それこそが本当にギャグだった。

…が、2003年9月2日現在、ちゃっかりBA954便のエコノミーシートに座っている自分がいる。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、自分本当に馬鹿だ。あぁ限りなく馬鹿だ。

いや、別に人生を悲観して自暴自棄になったってわけじゃない。薬さえあればうまく痛みをコントロールできる自信があるからこその決行。それにドイツだ。病院だって救急車だってどこにでもある。保険にも入ってる。これなら9日間くらいなんとかなるだろうと判断した。正直な話、今更キャンセルできる状況じゃなかったし、そんな屈辱的なことはしたくなかった。今後の治療についても、入院や手術とかいう積極的な方針が現状では定まっていないのも理由の一つ。ちょうどお医者様お得意の「経過観察」を言い渡された直後だったこともプラスだった。

そんなこんなで旅立った。当日までは最終判断がどうとかで大荒れ大慌てだったが、とにかく今、飛行機の自分の席に座って、久しぶりの緊張感(飛行機嫌いの再来だ)と闘っている。これから私の人生、大変になるらしいという気配は正直十分感じてる。でもやばいならやばいなりに、今のうちに旅をしておくべきだと思う。だってあとで後悔しても遅いじゃないか。検査と検査の狭間に与えられた経過観察という自由時間を、最大限に楽しんでおかないと。

とにかく今自分は、ちょっと必要以上に揺れている(ように感じる)機体の中で、日が傾きかけたヨーロッパの、名前も知らない街の夕暮れを空の上から眺めている。落ちたら怖いぞということを除けば、あとはまあまあ快適だ。痛みもうまくコントロールできてる。
オレンジの灯りがぽつぽつと灯ってすごく綺麗だ。自分は今生きていて、旅をしている。それがどれだけ贅沢なことか、ギリシャにいた時は気付かなかった。

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