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ギリシャ旅行記-2003-

prologue

シンガポール発アテネ行きSQ348便の片隅で、今激しい耳の痛みと格闘している。実は今日、生まれて初めて空を飛んだ。

海外旅行どころか、国内旅行もほとんど経験なし。唯一の遠出は中学時代の修学旅行「京都・奈良」という根っからの出無精。
そんな自分が選んだ大学1年目春休みのメインイベントは「脱、日本」。同じマンションの仲良し3人娘が集結し、国外脱出を図ることになった。

もちろん行先はさんざん迷った。初めてだし、旅のしやすいところで治安もいいところ。でも、添乗員付きのツアーなんかに参加してお決まりの観光コースを回るだけじゃつまんない。貧乏学生だからあんまりお金もない。英語力もからっきし。でも、インパクトのある体験がしたい。

戦いの女神アテナ像 で、最終的に選んだのは初海外としてはちょっとマイナーな観光国「ギリシャ」だった。
ギリシャといえば、社会科の資料集に載っていた「パルテノン神殿」の存在感や「エーゲ海」の真っ青な輝き。行ってみたいなぁと指をくわえていたセーラー服時代の私の夢、今こそ叶えてみせる!

ということで、さっそくあれこれ準備開始。パスポートの手配やら旅行鞄の選別やら、ガイドブック片手にもう気分はノリノリ。
そう。昨日までは地に足がついてないぐらいの浮かれようだったのに・・・。

初フライトの気分は控えめに言っても最悪で、実際に大地から足が離れた途端に緊張とストレスで体がまいってしまった。気圧の変化に体がおっつかず、その不調が耳の痛みとなって現れ、頭痛を誘導し、しまいには歯までもきんきん痛み出す始末。全ての痛みが連動して体力を奪っていく。どうしてこんなに苦しいんだ?やはり人間が空を飛ぶっていうのは、ちょっと無理があったんじゃないか。

成田を飛び立つ頃はそれでも良かった。初めて空に飛び立ったときの感動はそれなりに大きく、重力に逆らうおかしな感覚に襲われながら、隣に座る旅の連れの手をがしっと握り締めていた。
この友人が、またなんというか豪快な性格で・・・。彼女に言わせると「飛行機も電車もたいしてかわりない」らしく、離陸前にはもうすっかりリラックスして眠りこけていた。

が、こっちは初フライトの緊張でそれどころじゃあない。
Frame_greece_academy_apollon「恐いよぉ、ねぇ、これ落っこちないの?落っこちないよねぇ。ねぇ、起きてよ。怖いよぉ~」とすっかりナチュラルハイ。

シンガポールでのトランジットも緊張しっぱなし。7時間もあるトランジットタイムをただただ小さくなって過ごした。体はくたくたで眠たくてしょうがないのに眠れない。
「こんなところで眠ったら最後、身包みはがされて売り飛ばされるんだ・・・」などとつぶやきながら、深夜のシンガポール空港のソファで目をギラギラさせて時間を待った。

そしてやっと乗り換えたこの飛行機でも、離陸直後からこの耳の痛み・・・。緊張しすぎると、人はどんどん体力を失うようだ。今度は腹痛まで襲ってきた。
正直もう帰りたい。もう飛行機なんて大嫌いだ。空の旅は向いていないらしい。
私は飛べない、これが旅に出て一番初めに学んだ教訓。 もう辛くて何も手につかないため、今日はこのまま眠ることにしようと思う。
果たして明日、生きてアテネの地を踏めるんだろうか。考え出すと不安で潰されそうだ。ギリシャ神話の神様、アポロンでもポセイドンでも誰でもいいから、どうかどうか日本に帰るまで無事でいさせてください。私、まだこんなとこで死にたくないのよー。

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